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アルピニスト野口健と陸上メダリスト為末大によるトークセッションVol.2

2月3日、TOKYO FMホールで行われた「野口健 トークセッションin東京」にて、アルピニスト野口健と、陸上メダリストの為末大が登壇し、絶妙な掛け合いのトークセッションを繰り広げた。トークショウ後半のテーマは「世界はA面とB面で出来ている」

Icon segawa.taisuke1 瀬川 泰祐(せがわたいすけ) | 2018/02/06
このイベントは、地球環境の保護と保全を呼びかけていく活動「コスモ アースコンシャス アクト」の一環として、アルピニスト野口健が、地球を舞台に活躍するフロントランナーを迎えてトークセッションを行うというもの。


イベントの後半は、「世界はA面とB面で出来ている」という壮大なテーマでトークが繰り広げられた。


野口は登山の経験を活かして富士山の清掃活動を、為末はスポーツを使って社会問題を解決しようと、自身の専門領域以外で強みを発揮しているが、野口からは、

「富士山は遠くから見たらキレイだけど、中に入ると廃棄物が多数あります。18年間、毎年活動を続けることでゴミもかなり少なくなってきました。10年目を過ぎたあたりから明らかに変わってきて、5合目から上はほとんどゴミが無くなってきているんです。」

と、山を大切に考える活動を紹介。

ブータンの親善大使をしている為末からは、

「ブータンに行くようになってスポーツの支援を行っています。ブータンは国としては国民幸福量を最大化することを目指している国で、概ね国民の皆が幸せだと感じている。一方で、薬物汚染が社会問題になっていて、若者が薬物に手を染めるのを防ぐために、スポーツを広く普及させ、スポーツを通じて若者を守る活動を行なっています。」

とブータンにおけるスポーツを通じた社会課題の解決事例を紹介するとともに、ブータン初の陸上全国大会も首都で開催することも話した。

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野口からもブータンのイメージとして、


「ブータンの首都ティンプーに行ったことがあるんですが森林の割合が世界で圧倒的に高いんですよね。」

と、環境目線では非常に豊かな国であることも伝えた。


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さらに、野口は、ヒマラヤで会った子どもとのエピソードとして、

「ヒマラヤで会った子どもに夢って何って聞くと、夢ってなに?と言われました。言葉もわからない、本も読むことができない子どもたちにとって、夢という概念が無い現実がそこにはあったんです。こういった現実をなんとかしようと学校を作りました。校舎だけってわけにもいかないので、学校の先生、そして、レミオロメンの藤巻亮太さんに楽器を寄付していただいたりしてね。実際に学校を作ってみて、子供達が教育を受けていくと、だんだん夢を語りだす子どもも増えていきました。」

と、世界を見てきた野口ならではのエピソードも披露。様々な国の現地に行き、その国の人に実際に触れる、他の国の人と共同作業をすることで新たな発見もあると、その重要性を語った。


これからの環境問題への取り組みについて、為末からは、

  「スポーツの世界でもそうだけど、問題と問題の原因が離れていることがあるんですね。例えば、アキレス腱が痛いんだけど、アキレス腱を冷やして治すのではなく、肩の位置を少し変えると治ったりする。このような局所的な問題の解決法を皆でシェアしていくことで、全体がバランスしていく。スポーツでの課題解決がもしかしたら環境問題でも使えるかもしれないですよね。」

と、スポーツを通じて社会貢献へ活動している為末ならではの持論を語った。

野口からも、

「地球のためのエコっていう言葉があるけど、本当に環境問題のことを考えると地球から人間がいなくなった方が良い。そう考えると人間のためのエコが大切になってくるので、どこまで自然に手を出して、手を出さないがのバランスが重要になってきます。 例えば、ドイツではメガソーラーを設置する時に、設置の時に伐採した木の6倍の木を植えなければいけないと決まっているんです。」

と、外国の事例を持ち出しながら、地球の環境問題について自身の言葉で訴えた。

さらに、参加者からの質問タイムでは、子供から「富士山の清掃活動では、どのようなゴミが出てきたのでしょうか?驚くものがあったら教えてください」との質問が。

野口は、優しい口調で、

「富士山の上の方では、ポイ捨てされたジュースの缶やタバコ、それからトイレだったりね。富士山の麓では、車からポイ捨てされたペットボトルが特に多い。また、車のタイヤ、病院から出るゴミ、テレビなど、ありとあらゆるものが捨てられていた。これからは、間違いなく、メガソーラーなんかも増えてくるでしょうね。」

と答えると、質問した小学生は表情した表情を浮かべていた。

イベントの最後には為末から、

「テクノロジーで色々なものが見えるようになったので、皆で色々なことを考えながらよくしていければと思います。僕はスポーツからできることをやっていきたいなと思います。」

とメッセージを送り、2時間に渡るトークイベントは、集まったファンたちの充実した表情とともに幕を閉じた。

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なお、このイベントの模様は、2月18日(日)13時よりオンエアされるとのこと。(TOKYO FMをはじめとするJFN系列37局ネット※FMぐんまのみ19:00~19:55)。



「コスモ アースコンシャス アクト」とは?
2001年よりスタートした「コスモ アースコンシャス アクト」は、「アースコンシャス~地球を愛し、感じるこころ~」をテーマに、「より自分らしくあるために、楽しみながら、地球にも自分にもやさしい暮らしを選んでいこう」という活動です。

【ラジオ番組】
TOKYO FMをはじめとするJFN38局で「コスモ アースコンシャス アクト 未来へのタカラモノ」(月~金6:40~6:45放送)を放送中。月曜から金曜の毎日、世界のひとつの地域をフォーカスして、文化や風土、自然や動物、音楽や音が織りなす風景、環境への取り組みなど、さまざまな「タカラモノ」を紹介。「楽しみながら、地球にも自分にもやさしい暮らしを選ぶ」ヒントをお伝えしています。


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取材・文・写真:瀬川泰祐