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カトリエの「マイ・ファースト・スパイク」 第8回 鄭大世選手(清水エスパルス)Vol.4 「余計な道具は必要ない、野生人・鄭大世」

さまざまな国を渡り歩き、再びJの舞台に戻ってきた鄭大世選手。そんな大世選手が、これまで見てきた世界各国のスパイク事情や 道具選びのこだわりについて語ります。【加藤理恵】

Icon kinggear icon KING GEAR編集部 | 2017/07/16
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加藤
:プーマに決めるまで、他のメーカーのスパイクを履いたり、試してみましたか?

テセ
最初は色々なスパイクを履いてみたけど、1回履いた途端にピッタリだったから、プーマに決めました。靴って普通は履く時に慣らすじゃないですか。でもプーマは、慣らしが必要ないんですよ。最初からもう慣らされた状態で履いているようなもので。

加藤:はいはい。

テセ
あと作る国によっても全然違う。日本だとベトナム製とかが多い。だけど、同じシリーズでも中国製、イタリア製、ドイツ製になると全然履いた感じが違うんだよね。日本やドイツにいた時は違いがわからなくて全部一緒に感じたんですけど、韓国に行ったら同じスパイクなのにペラッペラで全く…なんですよ。

ただただ靴を型通りに作ったって感じで、こだわりもないし全然ダメ。作りも全く違って。踵も痛いし、足の裏も痛いし。Jリーガーでもわざわざ海外から取り寄せる人もいるくらいですよ。

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加藤
:テセ選手はスパイクのカスタムはしていますか?例えば中敷きとか。

テセ
いや、やってないですね。中敷きは韓国にいた時に1回使ったけど膝が痛くなりました。いきなり体重の踏みどころが変わると、膝に負担がかかってきて痺れてきちゃったから、ちょっと危ないなって思って。

加藤:なるほど。テセ選手はあまりスパイクにこだわりが強いタイプではないんですかね?

テセ:ないですね。まぁ・・・自分の特徴をカバーしてくれるやつ。自分の特徴についてこれるスパイクじゃないとダメっていう。それって結局こだわりなんじゃないかな。

加藤:そうですね。特にテセ選手はパワフルで、選手としての特徴がはっきりしていますもんね。もう最近はずっとエヴォパワーだったんですか?

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テセ
韓国にいた2013年頃からプーマのエヴォスピードを使っていて、2014年くらいにエヴォパワーが発売されたんだけど、当時は履いた時に中でズレる感覚があった。でも日本に帰って来てから、やっぱりエヴォパワーの方が自分に合っているように感じたから、替えました。

加藤:天然皮革のスパイクを履く事は考えなかったんですか?

テセ
例えば、カンガルーだと皮が伸びすぎちゃうんです。もう、すぐ伸びる、1日で伸びます。だから僕は、人工皮革の方が良いんですよ。

加藤:パラメヒコとかダメなんだじゃあ。

テセ:パラメヒコなんて絶対履けないです。昔は履いてたんですけど、今はもう履いた次の日には履けないんで。

加藤:どんだけ負荷かかってるんですか(笑)!!

テセ:もう、ほんとペンギン走りなんで(笑)。

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加藤
そんなパワフルな選手でも、年間3、4足で済むんですね?

テセ:はい。試合用と練習用があって、練習用は試合で皮が伸びたスパイクを履いています。面白いもので、練習中は気にならない少しのズレが、試合になるとすごい気になるの。試合では感覚が敏感になって。

加藤:ちなみにスパイク以外のこだわりってあります?

テセ:中にスプレー!スプレー止め。履いてるとズレるから、滑り止めを中にシューって振るんです。

加藤:え、どういうやつですか?

テセ:足が靴の中で滑ったら、力が逃げちゃうわけじゃないですか。テーピングが剥がれないためにするにスプレーなんですが、靴下と中敷きにスプレーをすると、靴の中で足がキュッ、キュッって止まります。あんまつけ過ぎたらキツすぎて、滑らなすぎて、感覚がなくなってくるんですが(笑)。

加藤:へぇー初めて聞きました!!他にはありますか?

テセ
そのくらいですね。僕、野生児だから。あんまり人工的に何かを加えられるのが好きじゃないんですよね(笑)。昔から山奥の野性的な環境で育って来たから自然体が1番良い。テーピングも邪魔、パワタイも嫌い。ユニフォームの内側にくっついているパンツも切って試合に出てますよ(笑)。


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