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『中西哲生サッカークリニック』取材レポート!「長友佑都、永里優季、久保建英も実践している」効果的な身体の使い方とは?

2017年2月5日、「銀座deフットサル 勝どきインドアスタジアム presents 中西哲生サッカークリニック」が開催された。サッカー及びフットサルどちらにも応用できる必要な身体の使い方や姿勢と、プロサッカー選手を指導する中西哲生氏から直接、独自理論を学べる現場を潜入取材した。

Icon 16442758 1382702521799890 1774501613 o 西村 真 | 2017/02/16
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本クリニックが開催されたのは、銀座deフットサル 勝どきインドアスタジアムのコートC。暦上は立春を過ぎるもまだまだ厳しい寒さが残る中、当日の天気はあいにく小雨模様だったが、本クリニックが開催されたフットサルコートには定員の数十名が参加していた。プロサッカー選手として名古屋グランパスエイトや川崎フロンターレで活躍し、スポーツジャーナリストとしてお馴染みで、TBS「サンデーモーニング」やテレビ朝日「GET SPORTS」等、テレビ番組でコメンテーターを務めていることで知られる中西氏だが、普段は全国各地でサッカー教室を開催していることでも広く知られている。

長友佑都選手や永里優季選手等、現役の日本代表選手らを指導する傍ら、子ども向けサッカー教室も多く開催している中西氏から、「一般愛好家及び指導者向け・健康的な成人男女」向けにレッスンを受けられるのは実は珍しい機会なのだ。子ども向けではないので、より理論的且つ実践的テーマで、当日の参加者は20-40代の大人向けの内容だ。それだけに参加者の表情も真剣そのものだ。

開口一番、中西氏は参加者に宣言する。「今日終わったら、うまくサッカーがプレーできるような姿勢を皆さんが手に入れられるよう、1時間半よろしくお願いします!」。そのフォームを身体に染み込ませる実践的なメソッドを全員に伝授してくれるという。

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まずは、関節の動きから入る中西氏。合わせるように、参加者も関節を曲げる。だが、この時に関節を曲げるにあたって、前のめりになり過ぎてはいけないと注意する。「上体を起こす」「(いい意味で)力を抜く」「力まない」というフレーズが繰り返れた。最初はボールを使わないトレーニングから。上体を起こし、前のめりにならず、必ず関節を曲げる。これが姿勢の良いフォームだという。

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「クリスチャーノ・ロナウドをイメージしてほしい」。良い選手、パフォーマンスを発揮できる選手は必ず姿勢が良い。まずはボールを使わず、その正しい姿勢を身につけるトレーニングから入った。

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  関節を曲げ、片足を浮かせる。その姿勢をしばらくキープし、もとに戻す。そして次は逆の足で同じように片足を浮かせて姿勢をキープし、もとに戻す。これを繰り返す。次は左右のサイドステップ。この時も、関節を曲げ、上体を起こし、両肩の高さを変えないように注意する。

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なぜ、関節を曲げることが重要なのか?それは次のプレーに素早く移れないからだ。足を完全に伸ばしきってしまうと、ターンもサイドステップもしにくい。その瞬間、瞬間、自分のしたいプレーがすぐに実行できるように、程よく関節を曲げ、力まないことが大切なのだ。

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開始30分ほどはボールなしの上体移動中心のトレーニングだったが、残り1時間は実際にボールを使ってのトレーニングに移る。この時、ボールは足の裏の前半分で扱うことが大切だと說明する。

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足裏の前半分でなく、足裏の真ん中や後ろでボールをコントロールしようとすると、どうなるか?

「足裏の真ん中や後ろ(に体重が乗る形)だと、次の動作に移りにくい」。なので、なるべくボールは自分の真下にくるようにコントロールするものの、足裏全体をボールに乗せるのではなく、足裏の前半分をのせてコントロールが適切だという。この足裏の前半分をのせながら、まずは片足で少しずつグルッとボールの周りを一回転する。終わったら、反対の足で行う。この一連の動作を繰り返す。中西氏のお手本をみながら、参加者も動きを模倣する。

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右足の足裏の前半分でボールをタッチしながら、軽くホップするようにボールの周りを一回転する。そして、またそれを反対の足で繰り返す。「なるべく少ないタッチで1周するように」「必ず両足でできるように!」と中西氏は声を張る。両足で習得し、両利きになることが大事だと教える。

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一通り行うと、次はボールが動いている状態で実践する。ライン際にボールを運び、先ほどの姿勢をキープしながら、足裏の前半分でクイックにターン。まずは右足で。そして慣れてきたら次は左足でも行う。

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次に中西氏が用意したのは、テニスボール。各自、テニスボールを2個両手に持ち、先ほどの姿勢で手を少し前に出す。そうさせた後、中西氏は手袋を外して說明する。手をグッと開いてみる。手をしっかりと開くと神経が通っているのが分かる。なので、テニスボールを手で軽く掴んで持ったぐらいをイメージすることが大切だと述べた。

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「これができると変に力まなくなる」。先ほどのターンや一回転など、テニスボールを持ったまま練習生にさせ、ボールを持ってやってみるとやりやすいことを伝える。「呼吸は止めない!」「慌てない!」「丁寧に!」と中西氏は繰り返す。

ゆっくりできれば徐々に速くもできるようになる。なので、最初から速くやろうとせず、ゆっくりでいいからできるようになること。それがマスターする近道なのだ。

そしてレッスンのテーマは、ドリブルとキックフェイントに移る。「ドリブルは蹴らない!」。

「ドリブルは蹴らないで、足に引っ掛けるもの。だから身体に(ボールが)付いてくる。ボールを蹴ってしまうと、ボールが浮いてしまったり、自分から大きく離れていったりしてしまう。なるべくボールは真下に戻すように」と指導する。この時、つま先は開かず、肩の高さを変えないようにできると、次の展開しやすくなると補足する。徐々に基礎の中でも難易度があがっていくにつれ、マン・ツー・マンで指導する姿もみられた。

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さらに、これら一連の動作にキックフェイントを加える。ボールを押し出したあと、すぐにボールを蹴ろうとしてしまう選手が多いが、それは誤りだと中西氏は指摘する。

キックフェイントをする際、シュートのモーションで前のめりになって、前ばかりに意識が向いてしまいがちだ。だが、キックフェイントというのは、いかに上手く「足を引けるかが大事」だと力説する。さらにキックフェイントでボールを足につけるとき、ピタっと止まれることが大事である。つまり、ピタっと止まれる選手は、良い選手なのだ。中村俊輔選手、遠藤保仁選手、中村憲剛選手など、名選手のプレーを実際にみればわかる、と解説する。

最後のシュート練習では、まずループシュートの正しい姿勢を伝授する。この時も最初にお手本をみせる中西氏。軽くボールを前に出し、関節を曲げ、横にボールをスライドさせて、力まず、掬うようにボールを蹴り出すようにフィニッシュする。

練習生を一列に並べ、順番に一人ずつ中西氏と同じモーションを繰り返す。「もっとゆっくりでいい!」「高くあげようと力まなくていい!」「関節は曲げたまま!」と声を掛ける。さらに、「ボールを蹴る時に顎の位置を変えないこと」が大事だと補足する。ターゲットを意識すると、顎が動いてしまい、思うようなコントロールができなくなってしまうからだ。

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シュート練習では、「シュート後は振り抜く!だけど、足は伸ばしすぎない!」と実践させる。次に中西氏は無回転シュートの手本をみせる。最後は同じ姿勢で強く蹴り込む。しかし、ここでも注意点。インパクトを強くしすぎない。強くしてしまうと、力んでスピンが掛かってしまうからだ。また、蹴り足から着地すること、そして、しっかりとインステップに当てて押し込むように、力を入れ過ぎず蹴り込むこと。正しい姿勢で、インステップで蹴り出せば、必ず無回転で打てると実践、体感してみせた。蹴り足から着地させるフォームを学び、徐々に全員が習得していたようだった。

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約1時間半に及ぶ練習が終わると、最後に中西氏は「今後も開催するので、機会があれば、また是非遊びに来てください」と挨拶し、参加した練習生達全員と記念撮影をして締めくくった。

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■『中西哲生サッカークリニック』
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取材協力株式会社 三桂
取材・写真/西村 真