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ユニフォームデザイナーの想いとは「Vol.1:ビームス×シント=トロイデンのコラボユニフォームについて」

サッカー日本代表のユニフォームが新しいデザインとなり賛否両論がでているのは周知の事実だろう。そんな中、アパレルメーカーなどがチームとコラボして、ユニフォームをデザインしている事例も出てきている。今回はシント=トロイデンと名古屋グランパスのコラボユニフォームをデザインしたビームスのデザイナーである水尾さんに、どんな想いやコンセプトでデザインをしたのか聞かせて頂いた。

Icon 16466945 810048175800857 1247399717 n 菊池 康平 | 2019/11/27
――スポーツではサッカー以外のユニフォームのデザインもされているんですか?   

水尾:はい。最近では、渋野日向子プロの全英女子オープンにて、最終日着用のポロシャツのデザインを担当させて頂きました。

――幅広く活躍されているんですね。まずはシント=トロイデンのユニフォームデザインについて教えてください。   

水尾:キーワードとして、ブラックがベースカラーというリクエストを頂いていました。「ブラックベースであれば自由にデザインはお任せする」という内容です。   

何種類かデザイン候補を出させて頂き、最終的にこのデザインに決まりました。胸にある『ビクトリーライン』がコンセプトで、メインのキャッチになるディープゴールドとライトゴールドの二色の組み合わせで奥行き感を持たせました。     

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©シント=トロイデン   

――工夫した点はありますか?   

水尾:フィールドで選手が着ているのをスタンドから見ても、2色のラインの違いがわかるようにラインの太さを試行錯誤しました。細いと一色のゴールドにしか見えなくなってしまうんですよ。   

――確かに細いとスタンドからは違いがわかりませんよね。

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水尾:以前にアイスホッケーのユニフォームなどもデザインをしたことがあり、これまでの経験を念頭においてデザインするようになりました。   

胸のビクトリーラインと同じ意味合いを持つゴールドのラインをパンツの両サイドにほどこしています。   

シント=トロイデンをはじめ今のサッカー選手の着こなしの潮流は、シャツをパンツの中に入れないで外に出していると思うので、それを想定して、シャツを外に出しても隠れない位置にパンツのラインを配置しました。     

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――もっと胸のVを強調しているユニホームなどもあると思いますが、ビクトリーラインをこの角度にしたこだわりは?  

水尾:いかにもVという角度よりは、言われてみればくらいの程度が良いという理由と、もうひとつは胸にスポンサーのロゴが入るので、そこにはかぶらないようにデザインモチーフとしてしっかり主張するように考えました。     

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当初はサードユニフォームをデザインする予定だったんです。

昨年はホームユニフォームがイエロー、アウェイユニフォームがブルー、そしてサードユニフォームがブラックという3パターンでしたが、今年は黒いユニフォームがセカンドユニフォームということでちょっと格上げになりましたね。   

去年はブラックのサードユニフォームが凄く売れたらしいです。

――ご自身がデザインされたユニフォームをヨーロッパ(ベルギー)で選手が着ていることに心が動かされますよね?   

水尾:デザインしたユニフォームを日本国内の試合で、プロの選手が着用しているのは目にしたことがありますが、海外のプロの選手たちが着用してくれるのは、僕も初めての経験ですので、ちょっと違う思いというか非常に光栄です。   

――やりがいがありますね。   

水尾:画面や媒体などを通して、選手が着用されているのを見て、すごく充実感を感じることもありますが、同じ位ファンの方が着られているのを見ることが、すごく僕にとっては嬉しいことなんです。   

実際に名古屋グランパスの試合を7月に豊田スタジアムに観戦に行きました。ユニフォームデザインをモチーフにしたTシャツを配布しましたが、サポーターの皆さんに着て頂いているのを見るとやっぱり嬉しいですね。   

――次にゴールキーパーのユニフォームを見ていきましょう。     

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©シント=トロイデン   

水尾:赤色という指定以外はフィールドプレーヤーとコンセプトもデザインも全く一緒です。     

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――デザインする中で苦労した点はありましたか?   

水尾:提案までの時間が少なかったことも苦労した点ですが、メインコンセプトを決めるまでに「あーでもない、こーでもない」と、決定までに悩みました。   

基本的にはあまりごちゃごちゃしたデザインのユニフォームは好きではないんです。主役は選手ですので、ユニフォームに関しては必要最低限のデザインや色使いに抑えることが基本は多いです。   

もちろん色々な要望があって、デザインに組み込んでいくのはまた別ですが、基本的な考え方としては「いかにそぎ落とすか、シンプルにするか」ということを考えています。   

その方が今回でいうとビクトリーラインがひときわ際立ちますし、コンセプトがしっかり伝わると思いますので。それが私のこだわりですかね。   

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取材中の写真:菊池康平